お月さまいくつ

オタクの日記

『哭声/コクソン』レビュー/パワフルなオカルト映画

 
哭声/コクソン

 

人々は恐れおののき霊を見ていると思った 。

そこでイエスは言った。

”なぜ心に疑いを持つのか。私の手や足を見よ。まさに私だ。触れてみよ。このとおり肉も骨もある”

 

―ルカによる福音書 24章 37-39節

 

こくそんとはいったいなんだったのかーー!!

すごく面白かった…。今作は韓国映画。韓国映画を観たことのある人には分かるお決まりのブラックな展開を見せるよ。韓国映画強いなぁ~!と思わせる、ブラックな作品でもエンタメとして成り立つストーリーと芸術性の高さがすごい。日本人の自分から見て、韓国映画は新鮮でいい刺激を与えてくれる。日本の映画に比べると韓国映画はパワフルなところが魅力だなぁと思う。肉の詰まったパワフルさ!狂気!元気になれるんだよね。

 

 

 

哭声/コクソン

 

事件は美しい山々の連なる田舎町、谷城(コクソン)で起こる。そこでは不可解な事件が連続して起こっていた。一家の者が一家を惨殺する事件だ。容疑者の動機は皆不明であったが、人に噛みつこうとする容疑者の錯乱した状態から、幻覚の起こる植物を摂取したためではないかと話が持ち上がる。しかし現場の捜査に入った警官ジョングは、始めは考えてもいなかったものの、同僚のソンボクの「裸で鹿の生肉を食い荒し、人を食おうとする日本人がいる」というオカルトじみた話を聞き、謎の日本人を怪しいと思い始める。ジョングはソンボクと彼の甥で日本語も喋れる助祭のイサムを連れ、日本人の住む家へと向かうのだが…。 

この謎の日本人を演じているのが、日本人俳優の國村準さんなのだが、彼のセリフはほぼない。だからこそ、そこにただ存在しているだけの日本人というオカルトさ溢れる謎のキャラが、観ている鑑賞者の想像力を膨らませてくれた。最初は警官のジョングと同じように「こいつが絶対に怪しい!」と思うのだけれど、徐々にそれも揺らいでいく。

 

 

哭声/コクソン

 

「なぜうちの娘に憑りついたのかって?お前は釣り糸を垂らす前に何が釣れるか分かるか?奴らは今、釣りをしているんだ。何が釣れるか分からない。奴はただ餌を投げ、お前の娘はその餌に食いついた。それだけのことだ」

 

それにしても、韓国映画のキャラクターは密度が濃くて本当にいい!この謎の日本人の存在感も映画の中では特に大きいのだけれど、警官ジョングのヘタレっぷりや、後に登場する祈祷師の存在感もなかなか強い。ジョングが自分の娘の靴を日本人の家から発見したその日から、娘の様子がおかしくなってしまう。一連の事件の異常性から呪いをかけられたと感じたジョングは祈祷師を家に呼ぶのだけれど、その儀式のシリアスさとコミカルさときたらものすごく絶妙。踊り狂う祈祷師、祈るジョング、もがき苦しむ娘、一人で黙々と儀式を行う日本人、このカットが代わる代わる交互にリズムよく流れていくのが、笑えばいいのか泣けばいいのかって感じの見事な地獄!圧倒。

韓国映画特有のシリアスなシーンでのコミカルさ、本当に大好きなんだよ。狙ってやってるのか、とくに意識せずに作ってるのか分からないところがまた笑えてしまう。

他のシーンで言えば、我慢の限界に達したジョングが仲間を引連れ日本人を殺しに行くシーンだろうか。軽トラに乗り込み、武器の農具を持って野山を駆け巡る中年のおじさん達の絶妙なダサさ、間抜けさといったら、完璧なんだよ。もちろん、娘の命に係わるシーンだから、おじさんたちはとっても真剣。それに加え、命の危険に曝され茂みに隠れている國村準すらも、どこか滑稽で笑えてくる。

しかしこのコミカルさというのが、後の展開をより強く引っ張ってくる。容赦ない残酷さが全てを吹き飛ばす。逆に言えば、韓国映画をよく見ている人からは、「ですよね!そんなに甘くないですよね!」っていう感想になってしまうけれど(笑)

 

 映画は156分と長めだけど、面白いので苦痛じゃない。『コクソン』は細かいことを気にするより、圧倒的パワフルさを肌で感じてもらいたい映画。韓国という日本と同じアジア圏であり、街並みも日本と似たような雰囲気を持ちながらも、やっぱり日本とはちょっと違うなという異質さを感じるのも楽しい。

 

 

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『コクソン』を気に入った人には『アシュラ』もおすすめ!コクソンと同時期に上映していた作品で、コクソンと同じ役者さんが出ている。(とくに祈祷師を演じたファン・ジョンミンさんがやばい!やばいのだ!)(『アシュラ』は劇場で観ました!)美しい男たちが血を流し合うのが好きな人は見てくれ最高なんだよ~~。韓国映画って偏見持たれているのか、すすめてもなかなか観てもらえなくて悔しい。すごいから、すごいからとりあえず観て。

 

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