She's Lost Control

記録とメモ。

『ネオン・デーモン』レビュー/星たちは輝きながら落ちていく

 
ネオン・デーモン

 

点滅するネオンに浮かび上がる少女は虚ろに自身の顔を見つめ、ただ一点のみ、噛みしめるように自覚する。「自分が誰よりも魅力的である」ということ。

 

子供の頃、よく夜中に屋根に上ったな。月が丸く大きな目に思えた。月を見上げて言うの。”私が見える?”って。

 

ファッションモデルとして働くことを夢見て田舎から出てきたジェシーのストーリーはとんとん拍子で進む。まだ少女の面影の残る彼女は誰もを魅了した。透き通るような美しい肌にウェーブのかかったブロンドヘアー。緊張の解けない彼女は瞳や指先を忙しなく動かす。しかし徐々に目覚め始める。彼女の横を通り過ぎていくものは雑音でしかない。雑音は彼女を囲い、自分の中に取り込みたいと願う。

 

 

 

ネオン・デーモン

 

『ネオン・デーモン』は少女ジェシーが嫉妬渦巻くファッションモデル業界に呑み込まれていくお話だ。猛スピードで出世していくジェシーを横目に嫉妬する女性たちの空気感といったら、画面越しでも息苦しくなるほど。それに耐えつつ呑み込まれていくジェシーもまた人を変えていく。

重圧からか、眠り耽り見るジェシーの悪夢は怖かった。泊まり込んでいるモーテルの管理人が、眠っているジェシーの部屋に入り込み、広げた彼女の口にナイフを押し込んでいくのだ。夢の中で目覚めた彼女は、自分の喉の奥へとナイフが押し込まれるのを震えながら感じている。想像のしやすさから、個人的に一番ゾッとするシーンだった。

話は「呑み込まれていくジェシー」だけではなく、「嫉妬するモデルたち」へと移る。そこへきてやっと話しのオチが見えてくる。『ネオン・デーモン』、このタイトルの「悪魔」とは、呑み込まれ人を変えていくジェシーだけではなく、嫉妬するモデルたちも含まれている。こうやってみると、完璧さというのは、人からかけ離れたものなんだなと思った。完璧な肉体を持つモデルたちは、血の通わない人形のように綺麗だ。モデルたちは完璧であることを望み、そして妬む。

 

ネオン・デーモン

 

「母は私をこう呼んでた。

”危ない子” ”お前は危ない子だ”

そうよ、私は危ない子」 

 

映像は美しい。芸術的に血が滴る画を見るのが好きな人にはオススメできる映画。ただし個人的にストーリーはつまらなかった。画の美しさで観ていられる映画だったかもしれない。映像と掛け合わせるように流れる音楽は最高。音楽はクリフ・マルティネスさんが担当している(この方、レッド・ホット・チリ・ペッパーズでドラムを叩いてたって知らなかった)。正直、この音楽だけをずっと聴いていたいなと思っていた…とにかく気持ちがいい。私はDVDで鑑賞したのだけれど、映画館で鑑賞したらきっとアドレナリンがドバドバ出たんだろうなぁ。お家で観る方は是非ヘッドホン着用で映画を見て欲しいと思ったよ。

 

 

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