She's Lost Control

記録とメモ。

『ジェーン・ドウの解剖』レビュー/謎に包まれた死体

 

ジェーン・ドウの解剖
 

心を明るく照らしましょう

ママが教えてくれた

女の子が知っておくべきこと

恐ろしい悪魔とは―――

 

運び込まれた彼女の瞳は灰色だ。手首と足首の骨は砕け、舌は切り取られている。肺は黒く濁り、心臓にはいくつもの傷がある。しかし外傷はなく、光に照らされた彼女の身体は白く舐めらかなままだ。眠っていた瞳を開かされ、自分の身体を切り開かれても、彼女は身じろぎせず黙っている。

 

 

 

ジェーン・ドウの解剖

 

バージニア州の田舎街。父親のトミーと息子のオースティンとで経営する遺体安置所に、ある女性の遺体が運び込まれる。その遺体とは、一家惨殺の事件現場となる家屋の地下に埋められていたものだった。現場を調査する警官たちは不思議に思うことばかりだった。家に誰かが踏み込んだ形跡もなく、何の目的で一家が惨殺されたのかも分からない。そして最も謎なのが、地下から発見された女性である。丸裸のまま見つかった彼女は、惨殺された一家とは無関係であり、殺された動機も死因も分からなければ、身元すら不明であった。そのため、皆彼女のことを「ジェーン・ドウ(身元不明の女性)」と呼んだ。検視官も務めるトミーと助手のオースティンは、昔から付き合いのある保安官にこのジェーン・ドウの検死を頼まれる。

 

 

ジェーン・ドウの解剖

 

「解剖は4段階に分けて行う。第1段階は外部の検証。続いて心臓と肺、消化器官を確認し、最後に脳を調べる」

 

遺体が巻き起こすパニックホラーと言えばいいのだろうか。とっても楽しめました。このジェーン・ドウの検死というのが急ぎの仕事で、夜に運び込まれた遺体の死因をトミーとオースティンは朝までに解明しなければならない。暗い地下室にて陽気な音楽のかかるラジオを流しながら作業を進める2人は、遺体の不可解な点を見つけるにつれ、自分たちの身にもおかしなことが起こりはじめる。この恐怖へと繋がるスイッチとなるジェーン・ドウは、もちろん、死体であることからピクリとも動かない。ただ2人に身体を切り開かれるばかりなのだが、その姿をじっくり見ることが出来るのも今作の魅力のひとつだと思う。成されるがまま、といえる彼女の姿は鑑賞者の加虐心を楽しませてくれるかもしれない。しかし彼女もまた無慈悲である。反逆でもするように彼女は楽しんでいる鑑賞者の隙を突いて、ひとつ、またひとつと恐怖を植え付けていく。

 

 

個人的な感想でいえば、父親のトミーがとっても自分の好みだった。物腰柔らかそうなお父さんなのだが、眼鏡をかけて検死をする姿がキュンとくるし、俄然、息子のオースティンに比べ知識も豊富で、ジェーン・ドウの消化器官から出てきた花をジッと見つめ、思い出したように植物図鑑のページを乱雑に捲る姿が最高だった。これはフェチだ。自身の父親がいないコンプレックスによって、彼はきっと50代ぐらいかな?、そのぐらいの歳の物腰柔らかそうな父親キャラクターを見ると胸が張り裂けそうになる。今作はそんな父親コンプレックス持ちにもオススメ。(そんな人いるのかは知らない。)息子も息子で、父親の力になりたいと思っている本当にいい子で、そんな2人が検死をしながらオカルト現象と戦う姿は見もの。2人は危機を乗り越えることが出来たのか、それは是非自分の目で確かめて、そしてここを読んでいる人にわたしがどんな顔をしてエンドを迎えたのか想像して欲しい。うわあん。

 

 

ジェーン・ドウの解剖 [Blu-ray]

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