She's Lost Control

記録とメモ。

『ハイ・ライズ』レビュー/ちょっと覗いてそっと閉じる

 

ハイ・ライズ

 

「あなたはタワーで最高の備品」 

 

はいらいずとはいったいなんだったのか…。

『ハイ・ライズ』を見て、現代アートを体験しているような気になった。なんだかよく分かんないけど、凄い。なにか伝えたいことがあるんだろうけど、分かんない。おれをおいていかないで。

 

 

 

ハイ・ライズ

 

簡単に言うと、40階建て高層タワーの25階に引っ越してきた医師、ロバート・ラングが、タワーの住人達と交流し、その独自の「ルール」を目の当たりにしながらも、マイペースに生活し、最終的にはタワー暮らしに満足するというお話である。タワー全体で断水や停電が起こると同時に、暴力やセックスが充満するのだが、誰も気にはしない。

 

「君のような自己完結型がもっとも危険だ。タワー暮らしの心理的な重圧に鈍感でいられる。客観的だ。成功者で、大気中の進化した新種のようだ。」

 

『ハイ・ライズ』は途中で考えることを放棄する映画だ。大きな岩を何となしに転がす。その下に隠れていた気持ちの悪い100本足の虫(ヤスデとか)の大軍を目の当たりにし、そっと岩を元に戻す気分だ。誰にも気づかれないよう黙ったまま、何事もなかったかのように。一度眠って考えたのだが、とくに際立った感想がない。誰かとこの映画のことを語り合う時、何を言えばいいのか分からない。聞かれたら「へへへ」と笑みを返す。この映画は美しい駄作だと思う。 

 

 

ハイ・ライズ

 

肉体関係を持った相手に「あなたは服を着てない方が魅力的。そんな人間珍しい」と言われ、どんな状況になってもジムに通うラングを笑えばいいのだろうか。(でも反面、見習いたいなとも。)映画を眺めながら、「もしかしてこれはコメディー映画なのでは…?!」と思ったが、最終的には雄叫びを上げる。吐く息は不完全燃焼から成る一酸化炭素みたいだ。自分で出しといて、それをまた吸って首を垂れる。ぼーっとする。頭のいい人は美しい息を吐くのだろうか。わたしは、この映画は頭が良かったらもっと楽しめたのかなと疑問を持った。エンドでラジオから流れる演説は、マーガレット・サッチャーのものらしいが、それを知ったところでこれがヒントなのかも分からないし、理解できないし、自分馬鹿だなと思って、つらい。ううう。だから際立った感想なんてものはない。

 

映像はとても綺麗だ。とくに背景のこだわりには惹きつけられる。このタワーの住人は上層階に住むほど富裕であり、タワーの設計者、アンソニー・ロイヤルは屋上に美しい庭を持っている。そこではゆったりとした時間が流れ、騒がしい声が耳に入ることもなく、下層階で暮らす人間たちがどんな暮らしをしていようと知ることもない。その中で、続くむき出しのコンクリートの壁や柱が、冷たく彼らを囲んでいるのがとても良い。

 

 

ハイ・ライズ[Blu-ray]

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