お月さまいくつ

オタクの日記

『ぼくらと、ぼくらの闇』レビュー/親友と親友と親友の死体

 
ぼくらと、ぼくらの闇

 

「本当に?」

「ああ。とりあえず隠そう」

 

これは、親友だったはずのザックとジョッシュがある事故をきっかけに、もう親友ではいっれなくなってしまうお話だ。

邦題は『ぼくらと、ぼくらの闇』だが、どちらかと言えば原題の『Super Dark Times』の方がチープでB級めいてて似合っている。

湿り気のある森林、明度の低い空、薄汚れたジャケット、下品な口調、移動手段といえば自転車で、携帯もない時代だから電話をすれば家の誰かが受話器を上げる。その中でいかにも平凡でどこにでもいそうな中学生達がこの映画の主役だ。

 

 

 

『スタンド・バイ・ミー』しかり『トレインスポッティング』しかり、青春映画に登場する少年(青年)達と同じように、今作品も4人組の少年がひとつの物語を作っていく。ザック、ジョッシュ、ダリル、チャーリーの4人だ。その中でも同じ中学のザックとジョシュは特に仲良し。一番太っちょのダリルも同じ中学。たまたま出会ったチャーリーはダリルの連れで、みんなとは別の中学に通っている。ガソリンスタンドに隣接するショップでたまたま出会った4人は、また別の日に集まって遊ぶのだが、そこで事故を起こしてしまう。

 

 

ぼくらと、ぼくらの闇

 

下品な冗談を投げ合い楽しんでいる彼らが起こしてしまう事件とは、うっかり友達を殺してしまうことだ。家から持ち出した日本刀で遊んでいたところ、喧嘩になってしまうジョッシュとダリル。原因はダリルがジョッシュの兄貴の部屋にあったハッパを勝手にくすねたことだった。取っ組み合いになった2人だったが、あれよあれよと言ううちにジョシュの持っていた日本刀がダリルの喉に突き刺さってしまう。観ていて血の気の引くシーンだった。いろいろ端折って、端折って、こうしてダリルの死体が出来上がってしまう。森の奥にうつ伏せで転がるダリル。パニックになった残りの3人は、ダリルの死体を落ち葉で隠す。証拠となる日本刀も、岩穴の奥へと放り込んでしまう。ここから、友情はパラパラと乾いた音をたて砕けていくのだ。親友だったはずのザックとジョッシュも、ダリルの事故をきっかけに精神を追い詰められ、関係を拗らせていく。

 

 

ぼくらと、ぼくらの世界

 

「全然眠れないんだ

心臓が急にドキドキし出すことがよくある

すごい速さで 突然に」

 

オチのつけ方としては取り分け面白いものではなかったのだけれども、若い子が遊ぶ場もなさそうな田舎の美しい風景と、中学生らしい下品な会話が並ぶことで、妙にリアリティが出て良かった。

それにしてもダリルというキャラクターは強烈だった。大きな体で嫌みたっぷりにゲハゲハと野太い声で笑っていた彼が、ザックの悪夢に登場するとそれはもう怪物のようで。血を流し、暗闇からジッと黙り込んでこちらを見つめるダリルは、夢から覚めてもまだ瞼の裏に残るほど奇妙で素晴らしい。

しかし全体的に見ると、もっと精神を病むような悪夢のような描写があっても良かったんじゃないかな?というのが正直な感想。少し物足りなさを感じた。ジョッショはザックよりも先に正気を失っていくのだが、細かい所までは映し出されない。彼はいったいどんな悪夢をみたのだろう。恐ろしいもの見たさに待ってはいたが、映画の後半は前半にくらべ減速してしまったように感じた。

 

 

Super Dark Times / [DVD] [Import]

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