She's Lost Control

記録とメモ。

キャストは魅力的なのにつまらなかった映画『キル・ユア・ダーリン』感想

 
キル・ユア・ダーリン

 

John Krokidas 『Kill Your Darlings』 (2013)

 

 

 

ビート・ジェネレーションを代表する詩人や作家の交流を描いた映画『キル・ユア・ダーリン』。

この映画、ぼけーっとしてると話はどんどん進んでいっちゃいます。

 

 

 

 

 

あらすじ

 

第二次世界大戦中の1994年。コロンビア大学に入学したアレン・ギンズバーグ(ダニエル・ラドクリフ)が大学内で出会ったルシアン・カー(デイン・デハーン)の自由奔放な姿に惹かれていくお話。

 

登場する有名な作家人

 

今作品実話ということで、自分のためにも情報をまとめてみたいと思います(wikipediaを参照)。

 

 

ビート・ジェネレーション

1955年から1964年頃にかけてアメリカ合衆国の文学界で異彩を放ったグループ。またはその活動の総称。

「ニューヨークのアンダーグラウンド社会で生きる非遵法者の若者たち」を総称する語として生まれます。

 このビート・ジェネレーションの最盛期にいるのが、映画で登場するアレン・ギンズバーグやジャック・ケアルック、ウィリアム・バロウズです。

 

 

アレン・ギンズバーグ

アメリカの詩人。代表作は『吠える(Howl)』。

この『吠える』はギンズバーグ自身の同性愛と、彼の生涯にわたるパートナーであるピーター・オルロフスキーを含む多くの男性との関係を反映している作品のようです。猥褻な作品とみなされ、一度サンフランシスコ警察と米国税関によって押収されています。2010年に映画化もされているみたいですね。

 

ギンズバーグ詩集

ギンズバーグ詩集

 

 

 

 ウィリアム・バロウズ

アメリカの小説家。主な著作に『ジャンキー』『裸のランチ』などがあります。

ハーバード大学を卒業していて、その後ウィーンの医学校にも入学。コロンビア大学大学院で2年、さらに母校のハーバード大学大学院で2年講義を受けるなど、学問の追求がすごい人です。

『裸のランチ』は卑猥かつグロテスクなものとみなされ、アメリカ政府から発禁処分を受けています。

 

裸のランチ (河出文庫)

裸のランチ (河出文庫)

 

 

 

ジャック・ケアルック

アメリカの小説家、詩人。『路上』、『孤独な旅人』などの著作で知られています。

劇中にもあったように第二次世界大戦中は船員として世界中を航海しています。

『路上』は、アメリカのカウンターカルチャーの代表となり、多くの愛読者と熱狂的な信者を生み出しました。

 

オン・ザ・ロード (河出文庫)

オン・ザ・ロード (河出文庫)

 

 

 

『そしてカバたちはタンクで茹で死に』

『キル・ユア・ダーリン』の題材になったデヴィッド・カーメラー死亡事件を題材にした小説。バロウズとケアルックの共著。

 

そしてカバたちはタンクで茹で死に

そしてカバたちはタンクで茹で死に

  • 作者: ジャック・ケルアック,ウィリアム・バロウズ,山形浩生
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今作品は文学に興味がある人は楽しめるんだろうなぁと思いながら観てました。

逆に作家を知らないとパッとしないかも。

劇中に登場するウィリアム・バロウズやジャック・ケルアックの作品、『裸のランチ』や『オン・ザ・ロード(路上)』は映画化されているので、映画から知った人も多いのではないのでしょうか。私も映画から知った人です。

 

 

 

感想:伝記としても、映画としてもつまらない

 評価:☆☆

 

なんだかパッとしませんでした。伝記としても、映画としてもいまひとつというか…。

すごく中途半端でした。

伝記として描くならばもっと情報が必要な気がするし、映画として描くならば見せ場となる大きなシーンが欲しかった。

当時の文学界の独特な空気感を演出するにしても、どこか生ぬるい。

今作品は同性愛描写や薬によるトリップは重要な要素だったと思うのですが、その演出がどうしても「美大生の考えるお洒落な演出」にしか見えなかった…。重要なシーンでBlock Partyの音楽を使うところとか、いかにもな感じで、ううん…(Block Partyは悪くない!)

もっと監督の色を織り交ぜられなかったのか。

なんて言ったって主演はダニエル・ラドクリフとデイン・デハーンなんです!

すごく魅力ある役者なのに、サラーっと撮りすぎ!もっと愛を持って撮って!!

とても危うい題材を取り扱っておきながら、繊細さも垣間見えない。

鑑賞者の五感に訴えるべき表現がない。

デハーン演じるルシアンがなぜそこまで魅力的で狂っていたのか。デハーンを起用していながら、その繊細さや熱が十分に表現されていなかったと思う。

ただの伝記として終わらせるとしても、当時の空気感を存分に観客に味あわせるというのは絶対に必要だと思います。

鑑賞者の毛穴がバーッと開きゾワゾワするぐらいの演出が欲しかった。なんていったって、彼らは後にひとつの時代の流れを作るのだから、それを感じさせる何かが欲しかったです。

全編にわたって生ぬるさと物足りなさを感じるばかりでした。期待していただけに残念です。

 

 

 

美しい言葉

 

何かを愛した時 それは永遠に君のものになるかもしれない

それは突き放しても弧を描いて戻ってくる 君の元へ

君の一部となり 君を破滅させる

 

 冒頭とエンドで使われているセリフです。大学に提出したアレンの小説の一部でもあります。画は微妙だったんですけど、この言葉は本当に美しいです…。

 

 

 

 人のために生きるのをやめ、自分の人生を歩む

 

色々ケチつけましたが、家族のために人生を選んできたアレンが自分のために生きようと決意するシーンは、自分と重なる部分があって何とも言えない気持ちになりました。

「自分の人生を歩む」というのは映画ではよく取り扱う題材だけに、昔も今も人は同じように悩んでいるのだなと感慨深くなりました。